山縣ゼミ第9期、価値創造デザインプロジェクト成果報告会。

2018年2月20日、山縣ゼミ第9期の価値創造デザインプロジェクトの成果報告会を実施しました。



このプロジェクト、2017年の4月からスタートさせました。つまり、今回が初年度。恥ずかしながら、いろいろと手探りでやってきました。プロジェクト先のみなさまには、いろいろとご迷惑やご心配をおかけしながらも、ようやく今日の成果報告会までたどりつきました。


ほんとうにありがとうございます。


第1報告は、株式会社カクダイさんとご一緒させてもらったチーム。

カクダイさんのDaReyaシリーズで製品を企画・試作させていただいた(そのベースとしての工場見学&製造体験まで)のみならず、メンバーたちが企業訪問のなかで気づいた従業員のモチベーションの問題を起点に、愛社精神と協働の凝集性などの関係性を部門別に考察するなどの研究を展開しました。そのための調査・分析を惜しむところなく、かなりつっこんだところまで、メンバーに自由にさせてくださいました。報告後のコメントで、多田副社長さまから「いい着眼点だった」というお褒めのことばをいただいたり、続けてやるならということでテーマ案をしめしてくださったりと、ひじょうにありがたい評価を頂戴しました。



第2報告は、株式会社大阪エースさんとご一緒させていただいたチーム。

こちらも手づくり石鹸の企画・試作と、その市場調査をさせていただきました。進めていくなかで、意味的価値 / 意味のイノベーションという概念と出会って、そこから自分たちがやっている商品企画がどういうものであるのか、どこをめざすべきなのかがクリアになっていったように思います。今回、報告のなかで示した大阪エースさん(特に石鹸工房コクーンの事業)の魅力や強みを明らかにしていた部分は、山縣から見ても「おっ」というくらいまで考察ができていて、他大学との合同ゼミのときより深まっていたように思います。今回のプロジェクトでご指導をくださった相田かおりさまからも、シャープな問いや視点が出てきて、気づかされることが多々あったという評価を頂戴しました。



第3報告は、いとへんuniverseさんとご一緒させていただいたチーム。

こちらは、いとへんuniverseさんが展開しておられる西陣絣をいかにして若い世代に広めていくかというところに焦点を当てて、プロジェクトを進めてきました。じつは、今開催されているデザインウィーク京都で、古着のリメイクを手がけておられるAKINの高橋柊さんとともに企画した@loopという試作商品を紹介させてもらっているほか、もう一つ試みているプロジェクトも実現に向けて現在進行中。研究に関しては、いとへんuniverseさんがいわゆる会社企業ではないということもあって、どう捉えていくかという点を考察して報告していました。まずは今、真っ最中のプロジェクトがうまくゴールに達することを願ってます。



休憩をはさんで、第4報告。平安伸銅工業株式会社さんとご一緒させてもらったチーム。

ここのチームは、平安伸銅さんが展開しておられるLABRICOの市場開拓をテーマにプロジェクトを進めました。DIYをしたくてもなかなかできないと感じているのが30台~40代前半ではないかという点に注目して、「子どもから親へ」という流れを想定し、小学校でワークショップをするというゴールを設定。協力してくださる他企業さんにも足を運んで、ワークショップを実施するに到りました。合同ゼミでの研究に関しては、社長の竹内香予子さんが展開してきた活動をマーシャル(Marshall, A.)の企業者職能の枠組(←古典といえば古典なんですが、現代でも活かせるところがあります)を使って、その特徴を明らかにするというものでした。山縣個人の研究関心に近いので、ある意味、さらに求めてしまうところはありますが(笑)、マスコミなどで紹介されているよりは深い考察になってたと思います。


第5報告は、活版印刷で知られる有限会社山添さんとご一緒させていただいたチーム。2017年に初めて開催された〈活版WEST〉というイベントに出展する商品の企画というテーマでプロジェクトを展開させてもらいました。いろいろ悩み、苦労しながら#デコりがみという活版の凹凸を活かした折り紙を販売することができました。その際の苦労も含めて、プロジェクト報告をおこなったあと、なぜ縮小・衰退市場であるはずの活版印刷が活性化したのかという問いを「新たなステイクホルダーの参入による価値循環の活性化」という観点から考察した結果を報告しました。この日は、山添のみなさんがお仕事のご都合でおいでになれなかったのですが、他の企業の方からもいろんな質問をいただくことができました。


第6報告は、アルデバラン株式会社さんとご一緒させてもらったチーム。アルデバランさんは、天然素材にこだわって化粧品を企画・製造しておられる企業さんです。独自ブランドのクレコスのほうが一般的には有名かもしれません。そのなかで特に力を入れておられるのが地域資源の活用による活性化や障害者のディーセントワークへの取り組み。今回のプロジェクトでは、地域資源の活用による活性化に重点を置き、北海道浦幌町と滋賀県東近江市君ヶ畑との連携による商品企画活動の一環としてプロモーションを担わせていただきました。2017年9月に開催されたジャパンメイド・ビューティーアワードでは、浦幌町のハマナスを活かした化粧品が審査員特別賞を受賞する栄誉を受けました。研究報告としては、アルデバランの活動を共有価値の創造(Creating Shared Value:CSV)の観点から捉え返すという考察をおこないました。


なお、これが各チームの制作したプロモーション・リーフレットです。



今回のプロジェクトに関しては、昨年度の反省も含めて、理論的省察をしてもらうという点を必須ポイントにしました。私が経営学史・経営学原理の研究がメインであるというのも、もちろんあります。ただ、それだけが理由ではありません。


プロジェクトで得た経験や、プロジェクト先の企業・チームがなぜいきいきと活躍しているのかを抽象化して捉え返すことで、その魅力や強みをしっかりと把握する。それを通じて、企業や組織・チームがいきいきと発展していくとはどういうことであるのか、いかにしてそれは可能になるのかを、経験と論理の両面から(少しであっても)体得してほしい。そういう理由からです。


何とかそのあたりはクリアできていたように思いますし、企業の方々にも新しい知見というかたちで提供できたのではないかと感じています(褒めすぎかもしれませんw)。


山縣ゼミとして、企業と一緒にプロジェクトをさせていただくのは、昨年の大阪労働協会主催のプロモーションプロジェクトに続いて2年目ではありましたが、今年度はプロモーションだけでなく、より具体的・実践的な価値創造の側面にかかわらせていただくことができました。


これもひとえに、プロジェクトにご参加くださった企業・チームのみなさまのおかげです。あらためて心から御礼申し上げます。ありがとうございます。


私も実質的に初めてということもあり、学生を含めて、手探りで進めたために、プロジェクトをお受けくださったみなさまには、かなりのご負担・ご迷惑をおかけしました。にもかかわらず、どのプロジェクトも最後まで完走させてくださり、学生たちにとっても実りの大きな経験となりました。もちろん、山縣にとってもひじょうに大きく、また貴重な経験でした。


来年度も、今年度の反省を活かして、プロジェクトを継続する予定です。

直接・間接を問わず、どうぞ引き続きみなさまのご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

Masayuki YAMAGATA Lab.

近畿大学経営学部 山縣正幸ゼミのページ。 テーマは「価値創造のデザイン:さまざまなステイクホルダーの期待を満たすために」 ミッションは「学びも遊びもガチで」